SWITCH INTERVIEW with KIKUCHI NARUYOSHI
SWITCH INTERVIEW with KIKUCHI NARUYOSHI
アンタッチャブルな場所
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写真:間部百合 文:猪野 辰

菊地成孔(きくち・なるよし)/一九六三年千葉県生まれ。音楽家・文筆家・音楽講師。
UA×菊地成孔のコラボレーション・アルバム『cure jazz』は、スピードスター・レコードより発売中。
ホームページ:www.kikuchinaruyoshi.com

 八面六臂どころではない多様なアウトプットを通して、前衛とポップの間隙を疾走する菊地成孔。

 UAとのコラボレーションアルバム『CURE JAZZ』がリリースされ、そのプロモーションのための取材を大量に受けながら、自らが主宰するバンド、ペペ・トルメント・アスカラールのニューアルバム制作、およびデートコースペンタゴン・ロイヤルガーデンの全国ツアーに突入する。そして秋にはDCPRGのニューアルバム制作が予定されていて、映画音楽を制作した『パビリオン山椒魚』もサントラが発売される。

 こうした音楽に関係する仕事の他に、音楽学校での講義を毎週こなしつつ、さまざまな雑誌から依頼のある大量な連載と原稿を執筆し、自らのホームページに日記をほぼ毎日更新する。

 しかし、これだけ多量なアウトプットを続けながら、菊地本人はまるで消耗する素振りを見せない。なぜそんなことが可能なのか。その謎に迫るべく、彼が事務所を構える歌舞伎町の台湾料理屋で取材は始まる。

 歌舞伎町コマ劇場の裏手にある台湾料理店「青葉」。菊地成孔が歌舞伎町に仕事場を構えてからというもの、夜中に食事する店の一つとして定着している。地下の店内に入ると、台湾料理店というよりはむしろ喫茶店をそのまま改装せずに使っていると思わしき、強烈に昭和の香りが立ちこめた煉瓦造りの内装だった。

 午後四時。約束の時間に現れた菊地は顔見知りの店員に軽く挨拶し、好物だというエピとピーナツとニンニクの炒め物、焼餃子とライスを注文した。

「こんな時間に来たのは初めてですよ。ここは夜中しか来たことない。日曜以外は深夜五時までやってるんですけど」

 店のBGMは、台湾語のポップスがずっとかかっている。

「このあたりの店って、必ずBGMは母国語の音楽が流れているんですよ。タイ語ハウスとか韓国語ヒップホップとか、どれも一律に面白い。大抵は単なるワールドポップなんですけど、ボサノバとかジャズが流れるとさすがにちょっとドキッとしますね。韓国語のボサノバにはびっくりしたな。語感的にはあまり合わないんだけど、乗っかってしまうんです。韓国人の歌手には下手ということがありえないので、全員すごく上手い。だからボサノバ独特のサウダーヂな感じはまったくないんだけど」

 そして、菊地は「とはいえ、ちゃんと韓国語で囁いているんですけどね」と笑った。

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