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写真:NAKA 文:菅原 豪 |
今年2月に「I believe」でデビューを果たし、18歳の新人とは思えない歌唱力とその情感溢れる歌声で大きな注目を浴びたシンガー、絢香。遂に完成したファーストアルバム『First Message』には、はじめて彼女が歌を志したときの純粋な想いが、そのままの形で閉じ込められていた。
「もう、とにかく早くみんなに聴いてほしい。聴いてくれましたか?」
取材用の部屋に入るなり、前につんのめる程の勢いで、絢香はそう訊ねてきた。そのアルバムのインタビューにやってきたのだから、当然ひととおり耳にしている。そう言ってひとまず作品の感想を簡潔に伝えると、彼女はほっとしたように一言「ありがとうございます」と言ってソファーに座り直した。
昨年末にスポーツ新聞をはじめとする芸能ニュースを賑わした「無名の女子高生新人、ドラマ主題歌に大抜擢!」といった見出しが、今や遠い過去のように思える。今年に入りデビューシングルとしてリリースされたその楽曲「I believe」は、堂々とした力強いサビのメロディと、まっすぐに前を見つめたポジティブな言葉によって、またたくまに世間に浸透していった。その後、五月、七月、九月とひと月おきにシングルをリリースしつつ、全国六都市での初のワンマンライブツアーを行うなど、ひたすら精力的な活動を続けるうちに、この記念すべきファーストアルバムまで辿り着いた。
デビュー前から今にいたるまで何度か彼女に取材をする機会があったが、このわずか一年に満たない期間に、彼女はとてつもないスピードで成長していったように思う。念願のデビューを果たしたことで周囲の環境や自身の生活は一変した。しかしその変化にゆっくり慣れる時間などあるはずもなく、目まぐるしく移り変わる毎日を乗り切るには、ただ自分を信じて前に進むしかない。望むも望まざるも、彼女自身が成長しなければどうにもならなかった。そして、それに合わせて彼女の中で歌い手としての意識も確かなものへと少しずつ変わっていった。ファーストアルバムのタイトルである『First Message』にはそんな想いが込められている。
「もともとデビューが決まるずっと前、もっともっと前の小さな頃から歌が大好きで、歌うことが楽しくてしょうがない、というところから始まっているんですけど、それがどんどん届けたい、伝えたい、聴いてほしいという風に変わっていった。そこが自分の中での一番の変化だと思います」
自分一人の世界で完結していた歌が、他者との繋がりを持ち、広がっていく。「Message」とはつまり、私からあなたへ、という新たなベクトルでもある。そのベクトルをより確かなものにするために、また別の思いが生まれる。
「以前よりも考えることが多くなったと思います。もっと良いと思ってもらうためには、よりスッとみんなの心に自然と届かせるためにはどうしたらいいかって。ライブにしても、みんなが楽しめるにはどんなことをすればいいのか、と。自分の中から生まれて始まったものだけど、よりそれを外に向けてメッセージとして伝えたいと思うようになってからは、本当にいろいろ考えることも増えたし、こだわるところも増えました。その分、相手に届いた時の嬉しさとか、次に向けてもっとがんばろうって思う気持ちがより大きくなっていったんです」