椎名林檎
椎名林檎
音楽家のマナー

写真:瀧本幹也 ヘア&メイク:稲垣亮弐 スタイリング:杉山優子 文:内田 正樹

PROFILE

『平成風俗』へのカウンセリング

 彼女についてある程度の知識と愛情があれば、「椎名林檎 NEW ALBUM」の文字には特別な意味を感じるはずだ。個人名義としては4年振りとなるアルバム『平成風俗』は、バイオリニストにしてアレンジャーでもある斎藤ネコとの共作名義で発表される。映画『さくらん』の劇中歌を含んだ本作は、言わばそのサウンドトラックの発展型と設定されている。

「今回のアルバムは五曲が新曲です。あと『ギャンブル』っていう曲なんかはライブの音源しかなかった曲だったんで、新たにデモを作って収録しました。コード付けとかは希望のものに変えていって。ネコさんは、そのコードである程度私がどうしたいかを分かって下さるんです。それでもう曲がどういう性質のものかを察知して下さる。そんな感じで何でもご存知だから、それ以上に申し上げるんだったらって、『ギャンブル』ならサスペンスとか退廃とか、ちょっと言葉だと陳腐に聴こえちゃうけど、私なりに最小限のキーワードをいろいろと並べるんです」

 こうしたやり取りを、斎藤は“カウンセリング”と呼んでいたという。林檎と斎藤は、林檎のファーストアルバム『無罪モラトリアム』に収録の「同じ夜」のレコーディングで出会った。以降、イベントやレコーディングを共にしている。全幅の信頼を寄せる音楽家とのカウンセリングによって、このアルバムにはロック、サンバ、タンゴ、ジャズ、クラシックの要素を伸び伸びと取り入れた13曲が収まった。前述の「ギャンブル」から、ラストを飾る実兄・椎名純平とのデュエット曲「この世の限り」まで、椎名林檎の歌であり、彼女の考える“音楽”が溢れている。

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